■授業

■作:ウジェーヌ.イヨネスコ,翻訳:安堂信也,木村光一,演出:西悟志,菊川朝子,出演:SPAC
■静岡芸術劇場,2018.10.6-28
■舞台上に小さな舞台を作り椅子を二つ置くだけの簡素な構成です。 そして見ているだけで楽しくなるカラフルな服装の教授が3人も登場する。 彼らは交互に舞台に上がる時もあれば3人一緒で女学生に教授する場面もある。 4人は狭い舞台を動き回り科白を喋る時の動作も大げさです。 漫才を観ているような場面が多い。
しかも異化効果を所々に入れている。 舞台装置の担当者がそのまま女中役になり日常的な遣り取りで教授と話しをしたり、教授が言語学について一人ブツブツ呟いたりして、舞台から降りてしまったような場面がそれです。 この振幅が大きいので心配しながら観てしまった。 舞台から降りてしまう効果が大き過ぎると観客が白けてしまうからです。 でもギリギリで保っていましたね。
それは教授達が女学生を殺してしまった後に再び初めに戻って漫才のような場面を繰り返し、何もない舞台を走り回り、椅子を並べ壊しながら女学生が歌曲名と歌手?を叫んでいく終幕を作ることで精神的肉体的暴力を昇華させたからです。
それでも異化と暴力が重なり若い観客はちょっと引いていたようにみえます。 カーテンコールでの周囲の若い人たちの拍手が少なかったからです。 初めてみる演出家でしたが緻密でしかも大胆な内容、それ以上に度胸のある演出家だと感じました。
*SPACシーズン2018作品
*「授業」(楽園王,2016年)
*劇場サイト、http://spac.or.jp/lesson_2018.html