■ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

■作:トム・ストッパード,演出:デヴィッド・ルヴォー,出演:ダニエル・ラドクリフ,ジョシュワ・マグワイア
■TOHOシネマズ日本橋,2018.5.25-31(オールド・ヴィック劇場収録)
■劇場では「ハムレット」を上演している。 そこでは裏にもう一つの舞台と客席を持っていて当作品を同時上演している。 表舞台の「ハムレット」の役者が裏舞台に時々現れる。 裏主人公ローゼンクランツとギルデンスターンは嫌々ながら彼らと演技を合わせていく。 ・・舞台構造をこのように捉えたがどうだろうか?
また死と演劇を論じている芝居でもある。 確率から死を、関数から演劇を考えさせてくれる面白い手法を採っている。
コイン投げや言葉遊びから<信念の度合いを表す主観確率>という概念を用い、二人の来るべき死を予測している。 そして旅芸人たちが、演劇が持つ構造から本質を見せる<再帰的関数である劇中劇>を展開し「ハムレット」の練習や二人の死刑執行場面などを演じていく。 劇中劇は目眩と共に覚醒を呼び起こしてくれる。 しかし確率と関数はやはり、どうでもよい。
コメディアンな二人と対照的な「ハムレット」の役者たち、演奏をしながら旅をする芸人一行は抜群の組み合わせにみえた。 鵜山仁演出(2015年)の時は「ゴドーを待ちながら」を意識したが、今回は作品構造や科白の混沌、役者身体の活きの良さ、簡素な舞台美術と的確な衣装などなどナショナル・シアターの豊富な総合力を楽しむことができた。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*作品、https://www.ntlive.jp/rosencrantz