■リチャード三世、道化たちの醒めない悪夢

■原作:W・シェイクスピア,演出:ジャン・ランベール=ヴィルド,ロレンゾ・マラゲラ,出演:J・L=ヴィルド,ロール・ヴォルフ
■舞台芸術公園・稽古場棟BOXシアター,2018.4.28-30
■役者は二人のため何役もこなす。 でもジャンはリチャード役がほぼ9割です。 そのリチャードはパジャマ姿に白塗りで当に道化師として振る舞う。 二人は笑いをとる仕草を連発していく。 舞台美術は流行りのコンピュータ仕掛けではなく(表面的には)機械仕掛けが多く五感に伝わって来るので楽しい。 見世物小屋ですね。
しかし舞台に入っていけない。 ナゼか?わかりました。 たぶん役者が作り出す世界と字幕が馴染んでいないからです。 その日本語は硬く書き言葉に近い。 しかもこの作品は字幕に強く依存するからでしょう。 上演数が3回のため字幕まで手が回らなかった(?) 途中から字幕は読まず見るだけで役者の顔へ視線を直ぐに移し表情を楽しむことにしました。 つまり字幕は残像要約になる。
それにしても役者は観客を挑発し続けますね。 小さな劇場のため役者と視線が何度も合います。 観客に菓子を配ったり、ワインを馳走したり、舞台に引きづり出して(裁判官のような)人形にボールを当てることを手伝わせたりしていく。 でも観客は乗れない(周囲を見回してもそれが分かる)。
「リチャード三世」と道化的世界は親密性があると言われています。 でも「リチャード三世+フランス語的道化」を目の前にすると混乱してしまったのはなぜか? 身体能力の違い、社会的仕草の違い、言葉の綾の違い(日本語字幕の問題を含めて)のリズムを上手く受け取れなかった。 本来はもっと楽しめたはずなのにです。 複雑な思いで劇場を後にしました。 ところで茶畑には黒布が被せられていたが霜除けでしょうか?
*ふじのくに⇔せかい演劇祭2018参加作品
*劇場、https://festival-shizuoka.jp/2018/program/richard-3/index.html