■ルイザ・ミラー

■作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ,演出:エライジャ・モシンスキー,指揮:ベルトラン・ド・ビリー,出演:ソニア・ヨンチェヴァ,ピュートル・ペチャワ,プラシド・ドミンゴ他
■東劇,2018.5.19-25(MET,2018.4.14収録)
■原作の「たくらみと恋」は読んでいないの。 なので物語にぐいぐい引き込まれていく。 特に1幕の展開は素晴らしかった。 またキャストの個性がばらけているのも観ていて楽しい。 日常の延長にいる娘ルイザのソニア・ヨンチュヴァ、老練な父ミラーのプラシド・ドミンゴ、ルイザの恋人ロドルフォ役は円熟期のピュートル・ペチャワ。 ペチャワは鉄を枯らした錆びのような豊かさがでてきたわね。 目も据わってきた。 そしてロドルフォの父ヴァルター伯爵とその家来ヴルムの二人のバス共演も面白い。 美術や衣装はどこかアメリカ西部劇の風景を遠くに思い出させてくれる。
「ドニゼッティに始まりオテロで終わる」。 この作品を一言で表すとこうなるのね。 ドニゼッティに譬えたのは速度が有ることだと思う。 オテロは後半のストーリーが似ているから? ペチャワが3幕の歌い方をドミンゴに質問したら「オテロのようにやれ」と言われたらしい。 ・・! でも「オテロ」を越えられなかった。 それは二人の父親のせいだわ。 父と子の関係はやっぱ粘っこいのよ。 終幕のミラーとルイザの関係をみてもそれが言える。 そのルイザ役ソニアは「プッチーニは映画でヴェルディは演劇」と答えていたけどプッチーニに映画的リズムを感じ取っていたのね。 ともかく後半の傑作に繋がるヴェルディ30代の作品を観ることができて満足よ。
*METライブビューイング2017作品
*MET、http://www.shochiku.co.jp/met/program/83/