■チェーホフ桜の園より

■原作:A・チェーホフ,演出:レオニード・アニシモフ,出演:東京ノーヴイ・レパートリーシアター
■梅若能学院会館,2018.5.26
■幕が開くまでどのような舞台になるのかイメージが湧かなかった。 能舞台を借りて「桜の園」を普通のように演じるのかな? しかし驚きのハズレだ。 役者の発声や摺足まで能を真似ている。 地謡も登場する。 能の雰囲気が漂っているが、もちろん能ではない。
科白と科白の間が生きている。 その空白は役者の身体に語らせるからだ。 和服のようにみえる衣装も素晴らしい。 アジア折衷衣装と言ってよい。 唸り声を静かに発しながら徘徊する爺やがまた面白い。 ほぼ舞踏だ。 橋掛かりでは、役者が別世界からやって来て再び帰っていくようにみえた。 そして少しずつ舞台に引き込まれていく。
前半の領主婦人と養女の喋り方が少し遅く少し高過ぎて違和感があった。 後半は良くなる。 それと商人が早足になった場面、また領主婦人と大学生の恋愛についての感情的な問答は折角の能的リズムが壊れてしまった。 感情的なところは別方法を考えてもよい。 この延長として娘と商人の結婚話が壊れる大事な場はもっと緻密な計算が必要だと思う。 終幕の爺やは徘徊を止め皆の後ろ姿を見送るだけでよい。 
今日はいつも以上にチェーホフの色々なことを考えてしまった。 予想外の楽しさが詰まっていたからである。
*2018年ロシア文化フェスティバル参加作品
*劇団、http://tokyo-novyi.muse.weblife.me/japanese/index.html