■シミュレイクラム/私の幻影

■演出:アラン・ルシアン・オイエン,出演:小島章司,ダニエル・プロイエット
■静岡芸術劇場,2018.5.3-4
■フラメンコダンサー小島章司と歌舞伎舞踊家ダニエル・プロイエットが出演する変わった舞台です。 小島章司の生い立ちや歴史を思い出すかのように二人が語り踊っていく。
小島は1939年生まれ。 戦後を生き抜き単身スペインフラメンコ修行に渡った苦労がそのまま暗い舞台に現れています。
アルゼンチン出身のダンサーダニエル・プロイエットは日本舞踊、特に女形を習う。 歌舞伎では女形を意識したことが無かったが、彼が女形の話をしたり着物で踊る姿は奇妙に聞こえ見えます。 それは歌舞伎舞台以外で女形をあまり見たことが無いからでしょう。 日本舞踊では衣装や化粧を付けない素踊りになる(?)。 同じように小島章司のフラメンコもスペインではどこか違うと感じられていたのではないか?
小島は前半終幕に、ダニエルは後半に一回だけ踊ります。 小島のフラメンコはどこか枯れていて日本的です。 舞踏から派生したようにもみえる。 ダニエルの日本舞踊はヌメリ気がありどこか非日本的です。 この違和感を受け入れるのが舞台のテーマにみえました。 二人はスペイン語、英語、日本語で語り、その日本語は片言です。 考えさせられる作品でした。
*ふじのくに⇔せかい演劇祭2018参加作品
*劇場サイト、http://festival-shizuoka.jp/2018/program/simulacrum/index.html