■ブレス・オブ・ライフー女の肖像ー

■作デイヴィット.ヘア,演出:蓬莱竜太,出演:若村麻由美,久世星佳
■新国立劇場.THE PIT,2014.10.8-26
■作家フランシスが夫の不倫相手マデリンを訪れる話である。 登場人物は彼女二人だけである。 舞台はマデリンの部屋だが本で一杯だ。 どんな職業か終幕になってやっとわかる。 博物館の学芸員らしい。 彼女の感情をあまり出さない演技は二人芝居にしては薄く感じる。 またフランシスの存在感、特に椅子に座る姿は日本の主婦である。
話題作になったのも薄々わかる気もする。 しかし二人の対話が愚痴ばかり言っているように聞こえてしまった。 役者や雰囲気が日本語的で内容が英語圏的である為かもしれない。
マデリンが「夫」と別れた理由を「夫が怖かったから」と言っている。 なるほど納得しかけたが腑に落ちるところまで行かない。 二人と「夫」のセックスもあまり語られないのにフリーセックスの話がよく出るのも突飛である。 登場しない「夫」の性格などのイメージが固まらない。 弁護士という職業も日本の公私と位置付が違うためかもしれない。 そして「・・愛をみつけること」と二人は頷き合うが、白々しい。
結局フランシスの訪問した真意がわからない。 チラシに回想録を書くためとあるがそうは思えない。 ロンドンの観客席は笑いに満ちていたのでは? いや静かな陶酔で満ちていたのか? 女性なら結構面白いと思う人がいるのかもしれない。 
確信の持てない雑感が次々と浮かんでしまった。 私のリズムある想像力が働かなかったようだ。 これで二人の愚痴、いや対話に入っていけなかった。
*NNTTドラマ2014シーズン作品
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/play/thebreathoflife/