■奴婢訓

■作:寺山修司,演出:多田淳之介
■富士見市民文化会館キラリ,2014.10.22-26
■なかなか面白かったわよ。 まず役者一人ひとりの挨拶で幕が開くの。 途中、番号を付けて観客全員を舞台に登らせ役者は観客席へ・・、そして主人探しのため席の観客にインタビューへ・・。 映像を使って劇場いたるところで主人を探しまわる・・。
多くの劇団は表面をなぞりながら寺山修司に近づいていくの。 この作品は骨組みだけを残してあとは再構築した劇場内市街劇のよう。 しかも寺山の匂いがしない。 でも彼の心は見え隠れしている舞台ね。 衣装が原発事故処理用に似ているから、終幕の懐中電灯で照らす場面は福島原発内にいるようだった。 
主人の椅子は舞台上に置いて、ボクシングリングのような仮舞台を観客席にも造ったから緊密間は希薄になったわ。 しかも役者が観客席を歩き座りまわるから余計ね。 仮舞台と観客席だけで進められたら緊張感がもっと出たはずよ。 そして役者がマイクを使うのは場違い。 ついでに言うと映像の歌詞は役者が歌って欲しい。  
万有引力、月蝕歌劇団、APB東京、青蛾館、流山児事務所、NYX,、少年王者館も面白い。 でも今日観終った時、寺山修司から解放された感じが持てた。 それは寺山との間に<離見の見>のある舞台だったからよ。