■無伴奏ソナタ

■作:O・S・カード,演出:成井豊,出演:劇団キャラメルボックス
■サンシャイン劇場,2014.9.26-10.1
■グイグイと舞台に引きこまれていく。 このテンポは手塚治虫の漫画を1頁づつ捲っているのと同じだ。 天才が持っている光と影の二面性を主人公に与えたり、ブラックジャックに繋がるウォッチャーは手塚得意のキャラクタである。 少し冷酷すぎるが。 そして両手の指を全て無くし、声を失っていくクリスチャンは心の記憶を引き継いだロボットのロビタに近づいていくようにみえた。
ところが後半は漫画から離れていく。 バッハからアメリカ民謡へ移ることによって緊張感が薄まり舞台は日常世界に近づく。 やはり天才がSF世界で幸せになるのは万人向けではない。 チラシをみたらこれは演出家の経験から来ているようだ。 そしてクリスチャンが天才を捨て、その基になる肉体も捨て、人々に愛される民謡を作ったことに観客はカタルシスを得る。 世間は非情ともいえる。
*劇団サイト、http://www.caramelbox.com/stage/mubansou-sonata2014/