■忘れな草

■作・演出:P・ジャンティ,振付:M・アンダーウッド,出演:カンパニ・フィリップ・ジャンティ
■パルコ劇場,2014.10.16-26
■人形がこんなにも多く登場するとは知らなかった。 一人一体の人形を持って双子のように動きまわるの。 人に似せているため瞬間どれが人形だかわからなくなるわ。 この人形とヒトとの境界消失が目眩を呼び生命の記憶を蘇らせるのね。 影絵や布の手作りの感触がその記憶を柔らかく包み込む。 そして独特な舞台が現前するの。 文楽のように人と人形を区別してから物語に入り込むのではないから最初から夢のようなものね。 
ストーリーはあるようだけどよくわからない。 なぜ北極なの? なぜ「猿の惑星」から来たの?
役者の動きや歌はまあまあというところかしら? 上手いとはいえない。 手作りの舞台をみていると、20世紀中頃のフランスに戻ったようだわ。 賞味期限が切れているような場面も多々ある。 古さを寄せ集めたところが特徴なのね。 そして題名「忘れな草」は舞台の流れに方向性を与える言葉。
このパルコ劇場はとても観やすい。 舞台と客席に隙間ができない。 親密さで満たされているわ。 11月に新国立劇場中劇場でも上演するけど、この作品はパルコで観るのが似合いそうね。