■わが父、ジャコメッティ  ■変身  ■光のない

三連休の初日に横浜で三本ハシゴしたのよ。
■わが父,ジャコメッティ
■演出:危口銃之,劇団:悪魔のしるし
■KAAT・中スタジオ,2014.10.11-13
■演出家とその実父が出演している舞台なの。 父は実際の絵かきで、原案は矢内原伊作の「ジャコメッティ」。 つまり父はジャコメッティであり、矢内原伊作であり、舞台上での絵描きであり、演出家の父である一人四役。 この四役が混沌としているの。 演出家が演出家や子の役ばかりでなく矢内原伊作やジャコメッティとの境界にも侵入するし、お手伝いの女優も役者志望の動機を語るからよ。
音楽や映像は舞台に溶け込んで違和感が無い。 三ヶ国語の字幕も凝っている。 舞台外の子と父の関係がほんのり見えるのが芝居を複雑に面白くしているところね。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/w_g
■変身
■作:F・カフカ,演出:平田オリザ,アンドロイド開発:石黒浩
■KAAT・大スタジオ,2014.10.9-13
■アンドロイドからロボットに鞍替えしたのかしら? 生物としてのヒトが生物としての昆虫に変身するのと、ヒトがロボットに変身するのは全然違うはずよ。 前者は異様な戦慄が走るけど後者はそれが無い。 ヒトの肉体が将来はロボットになると薄々予感しているからね。 もちろん金属ではなくIPS細胞のような素材を使ってだけど。
ザムザの顔はJ=L・バローのパントマイムの白に近く能面のようだわ。 結局は「不気味の谷現象」を越えられなかった。 舞台でのロボット議論は二元論に集約されてしまい面白くない。 脳だけは手がつけられない。 鉄腕アトムに戻ってしまったようね。
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/henshin
■光のない
■作:E・イェリネク,演出:三浦基,音楽:三輪眞弘,美術:木津潤平,劇団:地点
■KAAT・ホール,2014.10.11-13
■これは驚きの舞台ね。 想像とまったく違ったからよ。 得意のオノマトペ等を取り入れて詩が延々と続くの。 舞台美術と照明は「2001年宇宙の旅」を思い出させるところもある。 でも役者の動きと発声は宇宙の旅の身体とは逆なの。 この差異が東日本大震災、特に原発事故の異様さを引き出している。 この作品を載せるのは3回目*1だけど全貌がまだ見えない感じね。 これからも見えないかもしれない・・。
*1、「光のない」(宮沢章夫演出,2013年)
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/hikarinonai