■靴

■作・演出:倉持裕,劇団:ペンギンプルペイルパイルズ
■スズナリ,2014.10.9-19
■ユニット家具のような下駄箱?が舞台周りを埋め尽くしています。 遠近法がズレているためか身長差のある役者が立つと目眩がしますね。 小道具も凝っていて場面切替が楽しい。 幕開きにブランコがぶら下がっていましたが、以降使わなかったのが惜しい。 そして役者が奈落に落ちるのが上手いし、煙草の吸い殻をアチコチ捨てるのも笑えます。 とても面白い舞台です。
二人の女子高校生が主役のようです。 ストーリーを思いだそうとしているのですがコンガラカッてしまいます。 農場殺人事件、夢か未来から来たのかよくわからない人物の登場、生死の境界場所、学校上履紛失事件・・。 これらが時間と空間を飛び越えて展開するからです。
若崎一家は天才バガボンの家族のようでホンワカしてますね。 家族とその友人たちは一人ひとりの性格が際立っていて新鮮です。 特に父と母は人が変わったような警部補と部下の二役を演じるので尚更です。 ネットリ感が短くて笑いのある台詞が多いので舞台が軋みません。 
前回の「COVER」では「何もないところからドラマを探し、予感から離れたドラマを起こす」とありました。 今回は靴が溢れていました。 しかしこの靴の量が質に転化していません。 シンボルとして留まっているだけです。 ある意味靴を含め小道具が過剰になっている。 これが転化できれば「ドラマを探し・起こす」次の段階、「ドラマを成長」させることが出来るでしょう。