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■真夏の夜の夢

■原作:W.シェイクスピア,潤色:野田秀樹,演出:シルヴィウ.プルカレーテ,出演:鈴木杏,北乃きい,加治将樹,矢崎広ほか ■東京芸術劇場.プレイハウス,2020.10.15-11.1 ■野田秀樹とプルカレーテが競い合って相殺されてしまったようね。 野田の科白がいつものように飛び跳ねないし、プルカレーテのメフィストが迷走している。 コロナ禍で映像場面を多くした為か集中力が滞る。 劇中劇にした結婚式の終幕も異化されなかった。 そぼろ、ときたまご二組の恋人たちは動きが軽かったけど・・。    近頃の「夏の夜の夢」は格段に進歩して面白い舞台が多かったのに残念だわ。 「スカーレット・プリンセス」が上演できなくて、いくらでも変身できるこの作品を急遽選択したような内容だった。 プルカレーテの次回作に期待しましょう。 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater245/

■ヨナ

■原作:マリン・ソレスク,演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:佐々木蔵之介ほか ■東京芸術劇場・シアターウエスト,2025.10.1-13 ■劇場に入り観客を見渡すと、なんと!8割が女性。 しかも中年層が多いようにみえる。 贔屓筋かな? それにしても小難しい舞台だった。 タイトルからしてその気配が漂っている。 「ヨナは旧約聖書の聖人で、神に背き、その罰で鯨に呑まれ、三日間腹の中にいた漁師であり・・」、という背景がある。 舞台は鯨の腹の中。 狭くて暗い空間だが、音響・照明・美術を駆使して内奥を広げている。 ヨナの幻想(?)も現れる。 「人生の最期は眠らなければいけないのか?」「母さん!俺を産み続けてくれ」「(ここは)分断された場所なんだ!」「繋がらないのを繋げようとするのはもう止めよう!」「神が通りがかってくれたらいいのに」「復活のない神のようなもの」「復活した神をみたい」。 モノローグの断片には宗教を媒介にした自己への問いや迷いが色濃く滲んでいる。 「闇に触れた者だけが、光を探すことができる」「ヨナは私だ、ヨナはあなただ」。 言葉の一つ一つは耳に届くが、これが有機的な形となって身体に染み渡る感覚には至らない。 ひとり芝居のゆえに、原作者と演出家の生き様が前面に押し出されているせいかもしれない。 二人の故郷ルーマニアは池袋から遠い。 20世紀史も複雑だったはずだ。 東方正教会はどのような宗教なのか? 地理的・歴史的な距離も作品の理解を難しくしている要因だろう。 佐々木蔵之介は預言者然りとはしていなかった。 それでも、現代的ヨナ像を見事に演じていた。 鯨の暗い腹の中に、確かに灯をともしていた。 終幕では、暗い海から一転して、家具やベッドが赤い夕日に照らされる部屋が現れる。 その瞬間、演出家プルカレーテの狂気が垣間見えたのは嬉しい驚きだった。 前半から、このような部屋を幾つも造り、それを順次展開しても面白かったかもしれない。 私なりの解釈を加えながら舞台を反復する作品として受け止めた。 ところで「秋の隕石」プログラムの入手が遅れたため、庭劇団ペニノ「誠實浴池( せいじつよくじょう)」を見逃してしまったのは残念。 *舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」作品 *東京芸術劇場xルーマニア・ラドゥ・スタンカ国立劇場国際共同制作 *劇場、 https://www.geigek...

■スカーレット・プリンセス

■原作:鶴屋南北「桜姫東文章」,台本・演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー ■東京芸術劇場・プレイハウス,2022.10.8-11 ■原作に忠実な流れの為か歌舞伎を思い出しながら粗筋を追ってしまった。 しかも花道はあるし途中にすっぽんもある。 下座音楽に似せて上手に演奏台も作られている。 まさに歌舞伎だ。 結構ハチャメチャな舞台だ。 刀を持つと振り回したくなる。 チャンバラ場面を多くしたいのも分かる。 しかも桜姫は舞踏ダンサーのように白塗りの半裸体で動き回る。 芭蕉の俳句も登場する。 何でもアリだ。 しかしどこか調子がずれている。 舞台からリズムとテンポがみえてこないからだろう。 擬音はあるが演奏は少ない。 ルーマニア語の科白もリズミカルには聞こえない。 お家騒動を強調しすぎた為か主役三人の数奇な運命が薄められてしまった。 原作を知らないと三人に近づけないだろう。 美術や衣装、そして小道具、役者の動きもずれっぱなしで楽しい。 外見はオモシロイが内面がツマラナイといえる舞台だった。 日本語で作ったシェイクスピア舞台を英国の客席から観るとこうなるのではないかと考えながらみていた。 今日の客は年齢層が高い。 プルカレーテ仕様の歌舞伎は受け入れただろうか? *東京芸術祭2022参加作品 *劇場、 https://www.geigeki.jp/performance/theater320/   *2022.10 投稿者名を「茶熊赤狸」から「かなへび」に変更しました.

■オイディプス

■演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場 ■東京芸術劇場・プレイハウス,2015.10.21-23 ■「 ガリバー旅行記 」に続く上演となる。 舞台に小さな直方体の部屋が作られている。 視野を狭くしてみるので集中できる。 美術や照明のコントラストを強調するから輪郭のある深い舞台が現れている。 コロスを引き連れたオイディプスやイオカステのメリハリの効いた科白と演技でアクの強い叙事詩を観ているようだ。 後半、小さな部屋は解体され背後にコロノスの森が映しだされる。 そこでパーティが開かれているのだが、しかしこの場面は何を言いたいのかよくわからなかった。 ルーマニア語訳字幕が遅れ気味でリズムが狂ったが、プルカレーテに染まった役者の身体と言葉を楽しむには十二分に答えていた舞台である。 *2015年F/T「融解する境界」連携作品 *劇場、 http://www.geigeki.jp/performance/theater101/

■リチャード三世

■作:W・シェイクスピア,翻訳:木下順二,演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:佐々木蔵之介,手塚とおる,今井朋彦,植本純米ほか ■東京芸術劇場・プレイハウス,2017.10.18-30 ■舞台三方の汚らしい布が堅固な牢獄の壁に見え天井まで聳え立っている。 そして手術台で使う不気味な照明灯が天井からぶら下がっているの。 「 ルル 」の医学部実験室からついに手術室へ行き着いてしまったのね。 加えて錆びた曇りガラスドアや骨格だけのベッドが20世紀東欧の長い戦後史を匂わせている。 その中で木下順二訳を取捨増幅した科白と役者たちの身体動作が同期して沈黙あるリズムが出現してくるの。 何もないけど過去の記憶が漂っている廃墟のような舞台だわ。 リチャード役は佐々木蔵之介。 ツッコミよりボケに片寄った演技が沈黙のリズムに似合っていたわよ。 切れ味が鈍くなったのは仕方がないけど、周りの男性ばかりの役者たちが冴えたボケを演じているから面白く共鳴できていた。 日本語日本人役者でもプルカレーテのエキスは煮詰まっていたようね。 *劇場、 http://www.geigeki.jp/performance/theater151/

■2013年舞台ベスト10

□ ルル   演出:シルヴィウ・プルカレーテ,劇団:ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場    □ あの記憶の記録   演出:日澤雄介,出演:劇団チョコレートケーキ □ 駆込ミ訴へ   演出:三浦基,劇団:地点 □ 材料カエサル   演出:杉浦千鶴子,劇団:ラドママプロデュース □ わが友ヒットラー   演出:倉迫康史,出演:ORT-D・D □ MY FAVORITE PHANTOM   演出:橋本清,音楽:涌井智仁,出演:ブルーノプロデュース □ 毛皮のマリー   演出:高野美由紀,出演:劇団☆A・P・B-Tokyo □ もう風も吹かない   演出:平田オリザ,劇団:青年団 □ ノーラ   出演:tgSTANティージースタン □ ピグマリオン   演出:宮田慶子,出演:石原さとみ,平丘大ほか *並びは上演日順。  選出範囲はこのブログに書かれた作品。 映像は除く。 * 「2012年舞台ベスト10」

(中止)■反応工程  ■ピサロ  ■アーリントン  ■スカーレット・プリンセス

□反応工程 ■作:宮本研,演出:千葉哲也,出演:天野はな,有福正志,神農直隆ほか ■新国立劇場.THE PIT,2020.4.9-26 ■「・・緊急事態宣言が出ることを踏まえて、5月10日(日)まで中止期間を延長することといたしました」。 4月14日以降も中止になってしまった・・。 *NNTTドラマ2019シーズン作品 *「 反応工程 」(米山実演出,2018年) *劇場サイト、 https://www.nntt.jac.go.jp/play/reactionprocess/ □ピサロ ■作:ピーター.シェーファー,翻訳:伊丹十三,演出:ウィル.タケット,出演:渡辺謙,宮沢永魚,栗原英雄ほか ■パルコ劇場,2020.3.13-4.20 ■「政府の緊急事態宣言発令を受けまして、4月2日(火)-30日(木)の追加公演を含め4月15日(水)以降の全公演を中止・・」。 後半の開催に期待していたけどだめだった。 新しい劇場は当分お預けね。 *こけら落し公演 *劇場、 https://stage.parco.jp/program/pizarro/9632/ □アーリントン ■作:エンダ.ウォルシュ,翻訳:小宮山智津子,演出:白井晃,出演:南沢奈央,平埜生成,入手杏奈 ■神奈川芸術劇場.大スタジオ,2020.4.11-5.3 ■「政府の「緊急事態宣言」の発令に基づき、4/25(土)に開幕を予定しておりました「アーリントン」は全公演中止とさせていただきます」。 4月は全滅だわ。 *劇場、 https://www.kaat.jp/d/arlington □スカーレット.プリンセス ■原作:鶴屋南北「桜姫東文章」,演出:シルヴィウ.プルカレーテ,出演:ホフェリア.ポピ,ユスティニアン.トゥルク ■東京芸術劇場.プレイハウス,2020.5.3-5 ■うーん、これは観たかった。 残念ね。 今日だけで4本、チケ購入後の中止は累計16本。

■ガリバー旅行記

■演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場 ■東京芸術劇場・プレイハウス,2015.10.15-18 ■舞台はビニールの幕で覆われた馬小屋にみえる。 出だしから本物の馬が登場する。 でも静かに歩き回っているだけである。 フウイヌムのように嘶いてくれ! と言うことで「フウイヌム国渡航記」から始まるらしい。 ヤフーを介して人間の動物的側面を演じていくが、無彩色を基本とした舞台がその激しさを詩的に変えてくれる。 赤ん坊を殺しその肉を焼いて食うなどレクター博士なみの場面もある。 スーツ姿で行進するなど社会的側面も辛らつに描かれている。 老人の生き様への字幕が長く続いたがとてもリアルで記憶に残った。 これは原作に載っているのだろうか? 現実との境界を意識している演出のため一歩誤るとシラケてしまうが演劇パワーで向こうの世界に留まっている。 感動とともに呆れたという印象も強く残った。 *2015年F/T「融解する境界」連携作品 *劇場、 http://www.geigeki.jp/performance/theater100/

■ルル

■ 作:フランク・ヴェデキント,演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場 ■ 東京芸術劇場・プレイハウス内特設ステージ,2013.2.27-3.3 ■ プレイハウス舞台上に馬蹄型観客席が造られているの。 席に勾配があるから大学の医学部実験室で学生が座って手術を見ている感じね。 芝居も外科手術のような内容だわ。 ルルの肉体は迫って来るし、肉片も飛び散るからよ。 しかも衣装や化粧がヨーロッパ演劇の遠いところからやって来たようにみえる。 これらのすべてが重ね合わさって、肉体と精神の分裂と結合を繰り返す物語が生まれるの。 そしてある種の眩暈が訪れる。 ルル役のポピもM・モンローを激しく堕落させたような女で素敵だった。 このような芝居は日本ではめったに出会えない。 野田秀樹が「演劇の原初のパワーに満ちた東欧の舞台・・」と言っていたけど当たりね。 *劇場、 http://www.geigeki.jp/performance/theater016/