■リチャード三世

■作:W・シェイクスピア,翻訳:木下順二,演出:シルヴィウ・プルカレーテ,出演:佐々木蔵之介,手塚とおる,今井朋彦,植本純米ほか
■東京芸術劇場・プレイハウス,2017.10.18-30
■舞台三方の汚らしい布が堅固な牢獄の壁に見え天井まで聳え立っている。 そして手術台で使う不気味な照明灯が天井からぶら下がっているの。 「ルル」の医学部実験室からついに手術室へ行き着いてしまったのね。
加えて錆びた曇りガラスドアや骨格だけのベッドが20世紀東欧の長い戦後史を匂わせている。 その中で木下順二訳を取捨増幅した科白と役者たちの身体動作が同期して沈黙あるリズムが出現してくるの。 何もないけど過去の記憶が漂っている廃墟のような舞台だわ。
リチャード役は佐々木蔵之介。 ツッコミよりボケに片寄った演技が沈黙のリズムに似合っていたわよ。 切れ味が鈍くなったのは仕方がないけど、周りの男性ばかりの役者たちが冴えたボケを演じているから面白く共鳴できていた。 日本語日本人役者でもプルカレーテのエキスは煮詰まっていたようね。
*劇場、http://www.geigeki.jp/performance/theater151/