■能楽堂七月「チャッキラコ」「加茂」「御田」

*国立能楽堂七月企画公演の三舞台□を観る.
□チャッキラコ■ちゃっきらこ保存会(神奈川県三浦市)
□能・宝生流・加茂■出演:宝生和英,藪克徳,辰巳和麿,野口能弘ほか
□間狂言・大蔵流・御田■出演:茂山逸平,茂山茂,茂山宗彦ほか
■国立能楽堂,2026.7.25
■プレトーク「チャッキラコ」(高久舞解説)を聴く。 女性の音頭取りの歌に合わせて女児が踊る芸能で、「風流踊」や「小歌踊」に類別される。 踊り子が手に持つ綾竹を「チャッキラコ」と呼び、海への感謝と豊魚を願う踊りであること、歌詞の背景や歴史的変遷などが解説された。
トーク後には、音頭取りの成人女性八名、踊り手の女児十六名による実演が行われた。 素唄に合わせ、揃いの着物を着た少女たちが舞う姿は素朴で、どこか懐かしさを誘う。 昭和の半ば頃までは、正月や祭礼でこのような催しを目にする機会が多かったことを思い出す。 今は無形文化財として保護しなければ残らないのかもしれない、という感慨が胸に残った。
能「加茂(かも)」では、間狂言が替間の「御田(おんだ)」となり、神職と五人の早乙女が登場して舞台は一気に賑やかさを増した。 後場では御祖神が天女ノ舞を、別雷神が舞働を舞い、舞台全体に重厚な気配が満ちる。 神事性と祝祭性が交錯し、豊穣を祈る力が舞台の隅々まで張りつめていた。
企画公演タイトル「豊魚・豊作への願い」が三演目に貫かれ、民俗芸能・狂言・能がそれぞれの様式で祈りの形を示した一日であった。