■鷗外の怪談

■作・演出:永井愛,出演:松尾貴史,瀬戸さおり,味方亮介ほか,劇団:二兎社
■東京芸術劇場・シアターウエスト,2021.11.12-12.5
■幸徳秋水は舞台でよく見かける。 昨年末の「太平洋食堂」は大石誠之助、そして今年7月の「一九一一年」は大逆事件の判事が主人公でした。 今回は、この事件に森鷗外が関わっていたこと、しかも当弁護士が登場し、さらには女中が大石誠之助と同郷だったことなど驚きの場面が続く。 トリロジーが形作られたと言ってよいでしょう。 そして鷗外は体制側の人間として不当逮捕不当裁判に苦しんでいく・・。 
この舞台は政治と共に鷗外の家族そして文壇の話が盛り込まれていて目に暇ができない。 二人目の妻しげとのすれ違い、嫁姑の喧嘩、永井荷風の自然主義批判、早稲田文学と三田文学の対決、また当時の芝居の話も楽しい。 親友の賀古鶴所、文芸スバル担当かつ弁護士の平出修を含め、架空の女中を入れて7人で鷗外の内と外を剥がしていきます。 でも「鷗外はどういう人だかわからない」と言われていた。 彼が何でも屋だったのも一因でしょう。
*二兎社公演45
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