■境界

*下記の□2作品を観る。
■東京芸術劇場・プレイハウス,2021.12.24-26
□Endless Opening
■演出:山田うん,衣装:飯嶋久美子,出演:Noism1
■ダンサー9人の衣装それぞれがカラフルでフリルも付いている。 周囲に蝶が飛んでいるようにみえます。 振付におおらかさがあり気持ちが良い。 衣装が微妙な動きを隠してしまい逆に素朴さも感じられる。 軽さ有る春の祭典と言ってよい。
後半に入ると小さなベッドを押しながらダンサー達が登場する。 棺桶だと直感しました。 彼らの笑顔は消え苦味が出てくる。 その棺桶と戯れたあとフリルを脱ぎ捨てる。 これでダンスが成長したようにみえた。 死と再生の物語だと再び直感しました。 生→死→再生、この流れを軽く明るく描いたところに妙味がある。 ダンサーはもちろん、衣装・道具が互いに共鳴して巧くまとまっていました。
□Near Far Here
■演出:金森穣,衣装:堂本教子,出演:Noism0(金森穣,井関佐和子,山田勇気)
■山田うん振付とは真逆の世界です。 しかし振付家二人の境界は近い。 これは再生ではなく生と死の真剣な戯れとでも言うのでしょうか? 生↔死、その境界は鏡です。 バロック系音楽が響くなか、3人が絡み合う振付は複雑で重量感があり見応え十分ですね。
木枠で鏡を意識させる。 それはオルフェウスの冥界への入り口を思い出させてくれる。 鏡の延長とした映像も凝っている。 メランコリアに描かれたような立方体フレームを含め舞台の隅々まで魂が宿っている。 そしてオンブラ・マイ・フで幕が下りる・・。
西欧形而上学をダンスで表現したような舞台だった。 完成度が高く至福の時間を過ごせました。 カテンコールに年末大サービスの薔薇吹雪付きとは嬉しい。