■世界の果からこんにちはⅡ  ■演劇で<世界>を変える、鈴木忠志論

□世界の果からこんにちはⅡ
■演出:鈴木忠志,出演:竹森陽一,内藤千恵子,塩原充知ほか,劇団:SCOT
■吉祥寺シアター,2021.12.18-24
■演歌は進んで聴くことはないが聞こえると耳をそば立てる。 ラーメンはあまり食べないが大好きだ。 チャンバラ映画は近頃観ないが好きな方だ。 新幹線に乗った時は車窓から富士山を探してしまう。 ヤクザ映画はまず観ないが嫌いではない。 すべてに消極的な私だがこれに沿って日本人を意識したこともほとんど無い。 ぬるま湯に浸かってきたからだろう。
舞台は日本人とは何かを議論していく。 解説的場面が多いのでいつもの劇的感動はやってこない。 昭和時代から日本と生きてきた演出家が未来へ向けてメッセージを送っているような内容だった。
アフタトーク「ショベルカーとギリシャ・その後」(東浩紀x鈴木忠志)は都合で聞かなかった。
□演劇で<世界>を変える,鈴木忠志論
■著者:菅孝行,出版社:航思社
■2021.9.15発行
■吉祥寺公演のチケット取得のついでにこの本も購入する。 8章で構成され、著者の企ては2019年を総括した1章に集約されている。 一言で表すと「鈴木忠志の演出と舞台は世界水準」である。 その指標を次のようにまとめている・・
1.作品の持続的地域的な招聘実績
2.俳優訓練メソッドの世界的確立
3.他国でのレパートリー・シアター定期公演演目化
4.業績評価の国際的認知と機関顕彰実績
2章からは1960年代から時系列に沿って2018年までの劇団の歩みと作品の解説、批評や注釈で埋められている。 いつものことだが演劇関連の本は読み難い。 理由は対象作品の多くは舞台をみていないことに尽きる。 渡辺保著「演出家鈴木忠志、その思想と作品」では14作品が掲載されていたが今回は周辺作品にまで広げている。 注釈が多いので記録書として活用できる。 私が舞台を観る理由は、己の身体を通して世界の見方を変えられるからである。 しかし<世界を変える>舞台でないとそれが出来ない。