■あーぶくたった、にいたった

■作:別役実,演出:西沢栄治,出演:山本大輔,浅野令子,木下藤次郎,稲川実代子,龍昇
■新国立劇場・小劇場,2021.12.7-19
■舞台には電信柱が立っている。 そこに古びた国旗が垂れ下がっている。 下手の床は砂模様がみえ上手にポストが砂に埋もれている。 シュールな風景です。 これぞ別役特注美術です。
上演時間100分の10場で1場10分、でも全体のストーリーは繋がっていきます。 男1と女1の婚礼場面から始まり、・・子供が成長し、・・仕事が嫌になり、・・殺人事件に巻き込まれ、・・死期を向かえるという夫婦物語になっている。
最初の数場は夫婦が漫才をする数コマ漫画をみているようです。 科白の至るところに昭和のしがらみが感じられる。 楽しい対話ですが神経症的でどこか不気味です。
しかし、夫婦は時代の先取りをしている。 現代人の孤独を背負って生きているからです。 二人の悩む生活場面がジーンと胸にくる。 後半になって諄い部分もあったが、削ぎ落した役者の喋りや動きが活きていました。
数年前だが「ハイキング」(中野茂樹演出)をみて別役実に興味が湧きました。 あらゆる事柄の密度を上げると面白くなるという確信が持てたからです。 今回の美術や照明、小道具もそれに沿っている。 そして一番は「こつこつプロジェクト」の成果が出ていることでしょう。 <こつこつ>は別役作品と相性抜群かと思います。
*NNTTドラマ2021シーズン作品
*「ブログ検索」に入れる語句は、 西沢栄治  ・・検索結果は2舞台。