■オセロー

■原作:W・シェイクスピア,演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ,出演:トネールグループ・アムステルダム
■東京芸術劇場・プレイハウス,2017.11.3-5
■老若男女が散けている客席は珍しい。 東京初上陸のホーヴェ・オセロにF/Tと東京芸術祭が重なった為かな? ・・理由にならない?
青いカーテンを取り払い劇場の壁を見せ、四方ガラスの寝室での同時進行や、軍服姿の役者たちが駆け巡る姿が、広い裸の舞台を巧く使いこなしている。 オランダ語らしい。 字幕を読みながら時々役者に目が行く動きになってしまう。
軍服調のせいもあるが役者たちは骨太で粗さがある。 しかし肝心のオセロの嫉妬が役者身体に浸み込まず科白上に塗られていくだけにみえてしまった。 字幕も微妙に影響しているようだ。 しかも嫉妬が確信に変わる前後と妻デズデモーナを殺す場面で何かが抜け落ちてしまっている。 これでオセロのひび割れていく心情がビシリと伝わってこない。
ガラス部屋での殺害場面は迫力があった。 視野も狭まり集中できる。 東欧とその周辺国はガラスで仕切る舞台が流行っているらしい。 この数年はよく出会う。 劇中劇とは違った舞台中舞台の面白さがあった。
オセロが我に返り絞り出す言葉は「・・国家より大切な個人の宝を失ってしまった」。 差別意識を描いているとチラシに書いてあったが、差別からの憎悲を嫉妬が越えてしまった。 恐ろしや!しっと・・。
*劇場、http://www.geigeki.jp/performance/theater150/