■出てこようとしてるトロンプルイユ

■作・演出:上田誠,出演:ヨーロッパ企画ほか
■神奈川芸術劇場・大スタジオ,2017.11.16-19
■トロンプルイユとは騙し絵のことらしい。 トリックアートですね。 画家の強い思いで描いたものが現実世界へ飛び出てしまう話です。 もちろん観客もそれを待ち望んでいる。
描いた怪獣が出てくる場面を何度もループさせるという演出家得意の構造で迫ってきます。 そのループ=反復は少しずつ変化していく。 しかも過去に描いた絵が現在を言い当てる可逆法も取り入れている。 この反復構造と可逆構造で面白可笑しく舞台を進めています。
でもこの流れを保つ為に訳のわからない異次元人物を登場させ舞台を滅茶滅茶にさせてしまった。 サルバドール・ダリを出したからには最後まで画家でまとめないと作品に統一感がでない。 たとえば「芸術は爆発だ!」「なんだ、これは!」の岡本太郎のような人物を登場させたらどうでしょうか? そして反復構造は特有の飽きが来るので出口で反復を蘇生させるオチが必要でしょう。 これも不発に感じました。 以上二つを直せばグッと良くなる。
世界を形作る関係を構造として把握・表現していましたが、演出家はこれを「企画性コメディ」としてまとめているらしい。 絵画の次元構造をこの線に沿って取り上げたのは成功でしたね。
*ヨーロッパ企画第36回公演
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/detekoyou_t