■表に出ろいっ! One Green Bottle

■作・演出:野田秀樹,演奏:田中傳左衛門,出演:キャサリン・ハンター,グリン・プリチャード,野田秀樹
■東京芸術劇場・シアターイースト,2017.11.1-11.19
■何だこれは!?と観ていましたが、そのうちジワッと感覚的な楽しさが押し寄せて来ます。 それは遠い赤塚不二夫から始まったギャグ漫画が持つ弾けるような体感に似ています。 なぜ赤塚不二夫まで遡ったか? それは母親の衣装、特に髪型からです。 卓袱台での食事風景は当にバカボン一家でしょう。
鼓や太鼓の囃子演奏と仕手方能役者らしい父親の上手なのか下手なのか分からないような舞、部屋を仕切る意匠の濃い暖簾、伝統工芸を思い出させる金銀梨地面の壁や床、しかも父役が女優で母と娘が男優、愛犬の出産が原因で家族が災難に遭うストーリー・・。 皮膚がピリピリしてきますね。 災難が続く場面のノイズ映像も嵌っていました。
英語バージョンの為イヤホンが配られました。 でも「半神」の時のように最後迄リズムに乗れない。 日本語吹替担当大竹しのぶと阿部サダヲは野田リズムを助長するから尚更です。 野田演出の翻訳方法はいつも気になる。 家族同士さえも不寛容になってしまうストーリーでしたが終幕に訪ねて来たのは誰なのでしょうか? 現代風俗から古典芸能までを一緒くたにして漫画的に仕立てた装飾演劇と名付けてもよい舞台でした。
*劇場サイト、https://www.geigeki.jp/performance/theater143/