■椿姫

■原作:アレクサンドル・デュマ・フェス,作曲:ジョゼッペ・ヴェルディ,指揮:リッカルト・フリッツァ,演出:ヴァンサン・ブサール,出演:イリーナ・ルング,アントニオ・ポーリ,ジョヴァンニ・メオーニ他,演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
■新国立劇場・オペラパレス,2017.11.16-28
■「乾杯の歌」で歌手も観客も緊張が解けたようね。 それまではヴィオレッタ役イリーナ・ルングがどう出るのか見守っていたからよ。 さすがに彼女は素晴らしい。 でもイタリア語には聞こえない。 彼女の声は取っ付き難く近寄り難いから。 まさに高級娼婦の声ね。 アルフレード役アントニオ・ポーリも同じく地に於いて適役よ。 前回よりも彼の声に伸びが感じられた*1。
鏡の冷たさに反射する舞台が社交界という非日常的な雰囲気をより強くしている*1。 父ジェルモンの2幕と終幕の歌詞歌唱をジックリ聞くことにより当時の社会の営みが見えて来るわね。 3幕になるとルングの声にも慣れてきたせいか死に近づく状況に共感できた。 同時に18世紀のパリを思い描くこともね。
やはりオペラは映画館ではだめね。 劇場空間を伝わって来る生の声には置き換えできない何者かが潜んでいるからよ。
*1、「椿姫」(NNTT,2014シーズン)
*NNTTオペラ2017シーズン作品