■一人の男と二人の主人

■作:リチャード・ビーン,演出:ニコラス・ハイトナー,出演:ジェームス・コーデン,トム・エデン
■TOHOシネマズ日本橋,2017.11.10-16(NT,2011年収録)
■ゴルドーニを意識しているが身体的躍動感はミラノ・ピッコロ座とは違う。 召使が三大疾病に繋がる身体を演じるからだろう。 召使フランシス役のコーデンはこれで主演男優賞を取っている。 主人役であるギャングのロスコーはその妹が変装して女優が演じ、もう一人の主人の犯罪者スタンリーはバスター・キートン風表情が楽しい。
舞台は1960年代の空気で満ちている。 それにしても観客(映画内の)がこんなにもゲラゲラ笑う舞台は近頃観たことが無い。 でも日本の喜劇をみて笑うようにはいかない。 言葉の背後にあるナマの生活が見えないので科白がときどき宙に浮いてしまうからだ。 全寮制高校の話、ブライトンやオーストラリアの位置付け、料理名からくる味覚や記憶、リンゴ・スターの評価などなど英国人との笑いの違いには考えてしまう。 また随所に演奏と歌が入るがメロディーと歌詞が60年代を重ねて来る。 このような作品をナショナル・シアターが作ってしまうところにイギリスの古さと強さが見える。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*映画COMサイト、https://eiga.com/movie/86634/