■深く青い海

■作:テレンス・ラティガン,演出:キャリー・クラックネル,出演:ヘレン・マックロリー,トム・バーグ
■TOHOシネマズ日本橋,2017.7.7-13
■1950年頃のロンドン。 舞台はアパートを縦切りにして1階と2階住人の動きが分かるようにしているが暗い青色系照明のためはっきりしない。 「・・何不自由なく夫と暮らしていたへスターだったが、元空軍パイロットのフレディに心を奪われ駆け落ちしてしまう。 しかしフレディの愛に物足りなさを感じた彼女は・・」。 1階に住む主人公ヘスターの睡眠薬自殺に失敗する場面から始まる。
夫婦の愛を確かめる話のようだ。 夫フレディは妻ヘスターを嫌ってはいないが「感情の葛藤から逃れたい」普通の男にみえる。 反して妻には愛が残っているようだが複雑だ。 判事である前夫ウィリアムはヘスターに戻って来いと言うが彼女は従わない。
イギリス独特の雰囲気がある。 戦勝国の奇妙な余裕を描いているが米国とは違う。 画面の観客が笑う場面の半分は理解できない。 「イートンスクゥエア」で笑うのは何故か? ミラーを含めアパート住人たちの科白はヘスターが何者かを掘り下げてくれない。 結局は三人の対話に集中していく。 インタビューで演出家は夫フレディを持ち上げていたが彼は人並である。 謎はない。 この演出家の勘違いがそのままヘスターの複雑さをまとめ切れなかった。 謎としてもだ。 このブログを書いている間もヘスターがどういう人間だったか輪郭がどんどん薄れていく。
*NTLナショナル・シアター・ライヴ作品
*作品サイト、http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/56769-the-deep-blue-sea
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