■レミングー壁抜け男ー

■作:寺山修司,演出・音楽:J・A・シーザー,高田恵篤,劇団:演劇実験室◎万有引力
■座高円寺,2017.6.23-7.2
■役者たちは寺山修司を咀嚼しながら演技をしているようにみえた。 丁寧に作られていて分かり易い舞台だった。 古めかしいシュールな美術で舞台を覆いながら、カフカとサルトル、郵便の取扱い方や時刻のお知らせ、鉱石ラジオやダンヒルライター、肩にはJALバッグそして牛乳の飲み方から終幕の通のアジテーション等々が1960年代を連れて来る。 今もあり続ける壁を崩すために! 「1989年、壁が無くなったと思った・・。 それから28年、壁はより強固になり・・、壁信仰の現代人内面を問う!」(高田恵篤)。
この作品は数回観ている。 紀伊国屋ホール1982年12月12日公演、終幕での闇の声がまだ耳に響いているなかホールを通ると、そこに寺山修司が横になっていた。 一瞬彼の顔の黄土色に目がいく。 「(だめかな・・・・)」。 何人かが取り囲んでいたが一般客は皆うなだれて無言でホールを後にしていた。 もう一度振り返って寺山修司の顔を見ようとしたができなかったことを覚えている・・。
*天井桟敷・万有引力創立50周年記念公演第2弾作品
*劇場サイト、http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=1694