■パリ・オペラ座「バレエ・リュス」

■指揮:ヴェロ・パーン,演奏:パリ・オペラ座管弦楽団,出演:パリ・オペラ座バレエ団
■Bunkamura・ルシネマ,2017.7.15-21(パリ・オペラ座ガルニエ宮,2009.12収録)
(以下より上映4作品のスタッフ&キャスト,感想)
□ばらの精
■振付:ミハイル・フォーキン,出演:マチアス・エイマン,イザベル・シアラヴォラ
■甘ったるい感じが舞台に出ている。 バラの精のどこかダラリとしているような雰囲気がいい。 腕や手のふりつけが中途半端にみえるところも楽しい。 笑ってしまった。 背景中央から緑の壁、窓そしてカーテンの構成と色そしてソファーの形も申し分ない。 終幕、少女?の夢だったのが全てを許す気分になれる。
□牧神の午後
■振付:ワツラフ・ニジンスキー,音楽:クロード・ドビッシー,出演:ニコラ・リッシュ,エミリー・コゼット
■この作品は何回か観ているがここまで原演出?に沿った舞台は初めてである。 牧神もニンフも横顔しか見せない。 しかも歩き方に拘っている。 牧神が拾ったニンフの衣装へのフェティシズム表現が面白い。 笑ってしまった。
□三角帽子
■振付:レオニード・マシーン,美術:パブロ・ピカソ,出演:マリ=アニエス・ジロ,ジョゼ・アルティネズ,ファブリス・ブルジョア
■舞台美術や衣装はピカソらしい。 単純で伸びのある村の平面風景と衣装のキュビズム的立体感がマッチしている。 特に代官たち衣装の縦じま模様が際立つ。 音楽と振付も楽しく共鳴している。 スペイン風ロシア風フランス風田舎舞台は当時都会へ出てきた観客なら故郷の祭りを思い出しただろう。
□ペトルーシュカ
■振付:ミハイル・フォーキン,音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー,出演:バンジャマン・ペッシュ,クレールマリ・オスタ,ヤン・ブリダール
■見世物小屋周辺の群衆と群舞は素晴らしい。 玩具箱をひっくり返したような人物たちの踊りは飽きさせない。 下町の遊園地のようだが民族が交差する市場の一角にもみえてしまう。 3人のパペットはバレリーナを除いて人形らしくない。 もっと強調すれば一層面白くなるだろう。
今回の4本をみると当時の人々は「バレエ・リュス」に新鮮な驚きを見たはずだ。 バレエというより総合芸術と出会った楽しさをである。
*セルゲイ・ディアギレフ生誕145周年記念特別上映
*劇場サイト、http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/17_balletsrusses.html
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