■出口なし  ■芝居

■作:J=P・サルトル(出口なし),S・ベケット(芝居),演出:寂光根隅的父,美術:野地恵梨子,劇団:双身機関
■こまばアゴラ劇場,2017.2.25-27
■大陸弾道弾の先端から頭を出している3人にみえた。 高さ3メートルはある。 暗い舞台に慣れてくるとサーカスのテントの頭からと言ったほうが似合う。 顔だけの3人は死体のように白くてほぼ動かない。 喋っているのはテントの中にいる役者の声らしい。
真っ暗な中で聞く3人の愚痴のような科白は耳の奥底までしっかり伝わってくる。 力強さがある。 役者の喋りを音楽と照明が支援している為もある。 「他人は地獄だ」。 役者の声を聞いていると人間関係にへばり付いている具体の言葉に聞こえる。 サルトルを直に触ったような舞台だ。 
そのまま「芝居」に続いていく。 「出口なし」の声の役者が上から顔を出している。 入れ替わり死体顔を演じた役者の足が下のほうにみえる。 ストーリーも死者になる前の過去に遡っているようだ。
二つの作品の比較ができて面白い。 同じ舞台環境なのに「芝居」は言葉が身体に届いていない。 切れ味が悪いのだ。 さすが「出口なし」はサルトルの脂が乗っている時期の作品だと感心してしまった。
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/play/3520