■風のほこり

■作:唐十郎,演出:金守珍,出演:新宿梁山泊
■芝居砦・満天星,2011.1.21-30
■とある芝居小屋の舞台下、そこが劇団の文芸部室。 水が流れ落ち、まるで大きな下水道の中の溜まり場に作られているような舞台だ。
幕があがってすぐに義眼女田口加代と文芸部水守三郎が遠い思い出の甦るようなセリフを早口で喋り、観る者は昭和5年の浅草に引きこまれていく。
水が目薬になり、水の鍵を探そうとしたり、水は芝居の流れに寄り添いドロッとした空気のように感じられた。 そして目玉の不思議さも加わり妖しい雰囲気が漂う。
これに過剰な言葉が役者の身体から紬ぎ出されると観客も未知の過去世界に落ちていく。 ひさしぶりに唐の水の世界に浸った。 しかし寒い冬に水の舞台は身にしみる。 題名に風をつけるのは合わない。
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/24831