投稿

検索キーワード「クラウス・グート」に一致する投稿を表示しています

■ドッペルゲンガー

■作曲:F・P・シューベルト,演出:クラウス・グート,ピアノ演奏:ヘルムート・ドイッチュ,テノール歌唱:ヨナス・カウフマン ■NHK・配信(ニューヨーク・ウェイド・トンプソン・ドリル・ホール,2023.9.24-26収録) ■シューベルトの歌曲集「白鳥の歌」を演劇的な舞台作品に構成した公演である。 ここは馴染み深い「冬の旅」の続編として観ることにした。 全十四曲が歌われ、日本では「影法師」と訳される第13曲目「ドッペルゲンガー」が重要な位置を占める。 今回はピアノソナタ第21番(遺作)第2楽章が途中に挿入されている。 体育館のような広々とした空間に、規則正しく並んだ六十台のベッド。 その中央にピアノが置かれ、舞台を挟んで観客席が左右に広がる。 野戦病院と思わせる光景で、十数人の負傷兵がベットに横たわっている。 その中の一人が歌手ヨナス・カウフマンである。 数人の看護婦も忙しく歩き回っている。 先ずは第2曲「兵士の予感」から始まるが、野戦病院の負傷兵という設定はこの曲に驚くほどよく馴染む。 孤独な兵士が歌う姿はまさに演劇そのものだ。 その病院はそのまま戦場へと変貌し、ベットは銃弾を防ぐ盾となる。 爆撃機の影が横切り爆弾音が響き負傷兵たちは逃げ惑う。 第13曲「都会」では劇場の扉が開かれ、ニューヨークの喧騒が流れ込んでくる。 救急車のサイレンも聞こえる。 そこにカウフマンと瓜二つの人物が現れ第14曲「影法師」が歌われて幕が閉じる。 興味深い舞台だった。 負傷した兵士が歌うという設定により、十四曲のそれぞれが強い意味を帯びて心に迫ってくる。 これは演出の勝利と言ってよいだろう。 *NHK、 https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2025153961SA000/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、クラウス・グート ・・ 検索結果は2舞台 .

■サロメ

■作曲:R・シュトラウス,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,演出:クラウス・グート,出演:エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー,ペーター・マッティ,ゲルハルド・ジーゲル他 ■東劇,2025.6.27-7.3(メトロポリタン歌劇場,2025.5.17収録) ■この作品は独特な雰囲気がある。 具体的な名詞に溢れているからです。 ・・それは多くの人種や地名、パレスチナのユダヤ人、ローマ人やエジプト人、エルサレム・ガラリア・カペナウム・サマリア・エドム・アッシリア・レバノン・シリア・アレクサンドリア・・・。 たくさんの果物や宝石、葡萄や林檎・柘榴や無花果、エメラルド・トパーズ・オパール・ルビー・メノウ・トルコ石・水晶・紫石・・、そして動植物の名前たちが宗教と絡み合い想像力が膨らんでいく。 バビロンとソドムの娘であるサロメには6人の分身が同じ服装と髪型で登場する。 彼女の子供時代から現在までを同時に現前させる手法は凝っています。 ダンスの場面も変わっている。 「あの人はサマリアにいる? エルサレムに向かった?」。 あの人が近づいてくるのをゾクゾクと感じることができました。 「ヨカナーンは私を愛した・・」。 サロメ役はエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー。 魅力的な声だが現実的な身体がサロメを遠ざけてしまった。 スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」「アイズワイドシャット」を参照した、と演出家?がインタビューで話していたが、むしろドイツ表現主義映画の技法でサロメを再び甦らせたと言ってよい。 ヴィクトリア朝時代の背景と20世紀初頭のドイツ芸術がシリアの地のあの時代で混ざり合いキリストの到来を予言した。 不思議で怖い舞台を面白く観ることができました。 *MET2024シーズン作品 *MET、 https://www.shochiku.co.jp/met/program/6002/