■サロメ
■作曲:R・シュトラウス,指揮:ヤニック・ネゼ=セガン,演出:クラウス・グート,出演:エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー,ペーター・マッティ,ゲルハルド・ジーゲル他
■東劇,2025.6.27-7.3(メトロポリタン歌劇場,2025.5.17収録)
■この作品は独特な雰囲気がある。 具体的な名詞に溢れているからです。 ・・それは多くの人種や地名、パレスチナのユダヤ人、ローマ人やエジプト人、エルサレム・ガラリア・カペナウム・サマリア・エドム・アッシリア・レバノン・シリア・アレクサンドリア・・・。 たくさんの果物や宝石、葡萄や林檎・柘榴や無花果、エメラルド・トパーズ・オパール・ルビー・メノウ・トルコ石・水晶・紫石・・、そして動植物の名前たちが宗教と絡み合い想像力が膨らんでいく。
バビロンとソドムの娘であるサロメには6人の分身が同じ服装と髪型で登場する。 彼女の子供時代から現在までを同時に現前させる手法は凝っています。 ダンスの場面も変わっている。 「あの人はサマリアにいる? エルサレムに向かった?」。 あの人が近づいてくるのをゾクゾクと感じることができました。
「ヨカナーンは私を愛した・・」。 サロメ役はエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー。 魅力的な声だが現実的な身体がサロメを遠ざけてしまった。 スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」「アイズワイドシャット」を参照した。 演出家?がインタビューで話していたが、むしろドイツ表現主義映画の技法でサロメを再び甦らせたと言ってよい。
ヴィクトリア朝時代の背景と20世紀初頭のドイツ芸術がシリアの地のあの時代で混ざり合いキリストの到来を予言した。 不思議で怖い舞台を面白く観ることができました。
*MET2024シーズン作品