■余韻 Only the Sound Remains 

■作曲:カイヤ・サーリアホ,指揮:クレマン・マオ・タカス,演出:アレクシ・バリエール,振付・ダンス:森山開次,出演:ミハウ・スワヴェツキ,ブライアン・マリー他,演奏:東京文化会館チェンバーオーケストラ,コーラス:新国立劇場合唱団
■東京文化会館・大ホール,2021.6.6
■サーリアホは「遥かなる愛」以来かな。 今日の舞台は能から採ったから楽しみね。 ・・っと直前に、サーリアホが私の席の二つ後ろの列に着席したの。 この時期の来日は大変だったでしょう。
第一部は「経正」で上演は45分。 黒シャツ姿の僧行慶が気軽な足取りで登場するから調子が狂う。 でも演奏は幽玄調と言ってよいかしら? 次第に経正の影が濃くなっていく。 青山を奏でるところからダンスが入るの。 けっこう激しい振付で再び調子が狂う。 ダンサーは琵琶の分身なの?それとも経正の分身なの? そして修羅道に堕ちた苦しみで経正は静かに消えていく・・。
歌詞は原作を相当省略している。 歌唱や演奏でエコーを多用している(?)ためか人物心情が無機質な空間で漂っているようにみえる。 <幽玄とは何か>を北欧の自然で答えたのかな? 死者との出会方にも違いがあるようだわ。
休息後の第二部「羽衣」も上演45分。 シテとワキは「経正」と同じ歌手。 歌詞は自然描写が多い。 ダンサーも落ち着いた振付で天女に連係できる。
でも前作品と同じくエコー(?)が効いていてどこか掴み切れない。 タイトルの「余韻」はここから来ているのかしら? 能を観たときの自然と人間が溶けあう感覚とは違うわね。 両者が互いに響き合う感じかしら? 厳しい自然観が背景にあるようにみえた。
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