■キネマの天地

■作:井上ひさし,演出:小川絵梨子,出演:高橋恵子,鈴木杏,趣里,那須佐代子ほか
■新国立劇場・小劇場,2021.6.10-27
■女優4人が次々と登場してくる幕開きは舞台の楽しさを満喫できます。 しかし先輩後輩人の間には上から目線、嫉妬や下心ある称賛、殺意?黙殺などなどが渦巻いている。 女優たちが女優役で女優生態論を語る勢いは凄まじい。 久しぶりに声を出して笑ってしまいました。
前半はこのまま突っ走ります。 4人を集めたのは松竹小倉監督で、彼の妻を殺した犯人を捜す為です。 女優たちの中に犯人が・・? チラシに「推理喜劇・・」とあったので急展開は驚かなかったが後半に入った途端、前半の舞台をそっくり省いても成り立つような飛躍がある。 2本立てと言っても良い。
それでも女優4人の達者な口数は衰えない。 一人一人が犯人扱いされても4人が団結して反論していく。 「演劇賛歌の物語」と書いてあったが、彼女らの科白から賛歌を納得しました。 そして犯人はもう一人の呼び出されていた男優らしい・・。 以降、作者得意のどんでん返しが華々しく続いていく。 監督が女優たちを集めた真の理由も幕切れに分かる。 いや、お見事でした。
映画「キネマの天地」は「蒲田行進曲」とごちゃまぜにして記憶していましたね。 いま記憶を再整理しました。 ところで、今日の舞台では前半と後半でぷっつり切れていたのが勿体ない。 殺人を早々と匂わせたらどうなるか? この間を巧く繋げられていたら言うことなしでした。
*NNTT演劇2020-シーズン作品