■猫を探す

■作:永山智行,演出:山口浩章,出演:広田ゆうみ,二口大学,劇団:このしたやみ
■こまばアゴラ劇場,2021.6.25-27
■「男が火事の焼け跡から日記を見つける・・。 その家に住んでいた人の50年前の日記だった。 見つけた男はその日記に合わせるかのように自身の生活を変えていく・・」。
登場する役者は男と女の二人だが二人数役を熟す。 ト書も役のように喋るので不思議な感覚に落ちていく。 久しぶりに小説を読んでいる気分だ。 小説を観ているというのが正解だが。
舞台背景は三好達治からチェーホフ、そしてクリームが話題になるので昭和だが明治にも飛ぶことができる。 主人公の初老の男が<先生>と呼ばれるのを聞いて夏目漱石まで遡ってしまった。 時間巾を広げられる戯曲だ。
そして主人公に近づく女たちはどこか謎を持っている。 彼女たちは動物報恩譚に登場する動物が遠い祖先かもしれない。 猫も時々現れるがこれに沿っている。
東京で上演する京都の劇団の質が良いのに気付いていた。 「劇団このしたやみ」も京都出身とあったので観ることにしたのだが、はたして期待を裏切らない面白さだった。