■アユタヤ

■作・演出:土田英生,出演:水沼健,奥村泰彦,尾方宣久ほか,劇団:MONO
■WEB配信,2021.3.6-21(あうるすぽっと,2021.3.6収録)
■17世紀初め、タイで商売をしている主人公イチノスケとアユタヤ日本人町の人間模様を描いた舞台です。 が、前半は焦点が定まっていかない。 人名や地名を隠すと時代も場所もよくわからない。 「時代劇なのに現代劇」という演出家の意向に沿って進んでいきます。
後半、その妹オツルと日本から逃げてきたショウエモンのすれ違いすれすれの話に絞られていく・・。 二人の間柄は<愛><恋>より<好>という字が当てはまる。 好きだけど、はっきり言わない。 いっしょになりたい、と心では思っている。 日本人町の崩壊が迫る中、イチノスケたちはカンボジアへ移住することを決めるが、ショウエモンはマニラへ行こうとする。 その理由が本心とは違い「皆に迷惑をかけた」から。 しかし土壇場で周囲の者がショウエモンを引き留め二人はどうにか一緒になれる・・。
このように書いてしまえば簡単ですが、一緒になれなかったら・・、と思うと胸がキューンとします。 最後はほっとしますね。
チェーホフやシェイクスピア後期作品、日本では明治・大正時代の小説等でこの種の話つまり<好>にときどき出会います。 この中で演出家土田英生の上手さはピカ一だと思う。 でも今回はショウエモンの描き方が少しぬるかったように感じました。 
WEB配信内容は悪くなかった。 カメラもアップを少なくし動きを抑えていたし、特に音響が良かった。 映像・音響・カメラワークで満足できる舞台配信はまだ少ない。