■薮原検校

■作:井上ひさし,演出:杉原邦生,音楽・演奏:増田トッシュ,出演:市川猿之助,三宅健,松雪泰子ほか
■PARCO劇場,2021.2.10-3.7
■新パルコ劇場は初めてです。 座席や通路の赤絨毯が旧劇場を思い出せてくれます。 客席も増えた(?) しかも角度が付いている。 少し急かな? でも観易い。 KAATホールのような激角度は頂けないが・・。
舞台背景の板に描いた汚らしい建物群から「下谷万年町物語」を思い出してしまった。 この建物と物語が繋がらなかったのは残念ですが、旧劇場が時々顔を出しますね。
そこに綱で区切った何もない空間で物語が進んでいく。 日本橋も綱が二本掛かっているだけです。 そして語り部盲太夫とギター演奏者が道案内役として上手に座っている。 幕が開き白杖を持った坊主が登場した途端ストーリーが甦りました。
ラジカル度が高い。 歌舞伎風でも荒々しさがある。 主役市川猿之助に合わせた演出でしょうか? 盲人たちの存在感が迫ってくる。 どこかギクシャクしているがこれがまた新鮮です。
舞台と客席の間にライトカーテンを挟んで場面を切り替えるのが目新しい。 しかし音響が気になりました。 マイクが出しゃばり過ぎていてシラケる場面もあった。 それは太夫にも言える。 演奏が入るとマイクを高くしている。 役者の生の声を聴きたいのに近頃それが叶わない。 音響以外は楽しく観ることができました。 帰りは階段で1階まで下りたが上階劇場の欠点は旧劇場から引き継いでいました。