■義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー

■作:竹田出雲ほか,監修:木ノ下裕一,演出:多田淳之介,出演:佐藤誠,大川潤子ほか
■シアタートラム,2021.2.26-3.8
■「義経千本桜」五段中二段「渡海屋・大物浦(とかいや・だいもつのうら)」の上演です。 幕が開くと一ノ谷から壇ノ浦までの合戦回顧を早回しで見せてくれる。 科白は古典から現代まで混ざり合ってる。 音楽も結構激しい。 観ていて忙しい。 二段目に入ると早回しが終わり普通のテンポになる。 それでもリズムは狂いっぱなしです。
劇場に入ると国旗が掲げられている。 安徳帝の肩にそれを掛けたり、典侍の局(すけのつぼね)の亡骸に被せたり、また国歌が演奏される場面もある。 「いつだって歌舞伎はその時代の現代劇!」。 演出家の言葉通り京都や鎌倉を現代につなげている。 終幕、その国家への抗いとしての「イマジン」がとても効いていました。
「想像してごらん、国なんてないんだと、そして宗教もない・・、殺す理由もない、ただ今を生きているって・・」。 義経のその後を歌った曲に聴こえてしまった。 そして安徳天皇としてではなく娘お安として知盛からあずかった。 義経はこの歌で知盛にこう伝えたかったのでしょう。
*木ノ下歌舞伎公演