■ベートーヴェン・ソナタ

■演出:中村恩恵,出演:福岡雄大,米沢唯,小野絢子,井澤駿,本島美和,首藤康之,新国立劇場バレエ団
■新国立劇場.中劇場,2019.11.30-12.1
■ベートーヴェンがダンサー達を引き連れてやってきた! 音楽から踊りが生まれ舞いの中にベートヴェンの人生がみえてくる作品だ。
「レクイエム」「春」は少し混乱したがベートーヴェンとジュリエッタのアダージョ「月光」で舞台に入っていくことができた。 ベートーヴェンは二人一役らしい。 福岡雄大と首藤康之。 アントニエとの「ラズモフスキ第一番」も素晴らしかった。 新国バレエ団ダンサー達は修飾しない身体動作を心得ている。 「第一番」の小野絢子はこれが効いていた。 福岡雄大も際立っていたがもう少し修飾してもよい。 首藤康之との存在感の違いが面白い。
二幕は「ピアノ・ソナタ第31番」のヨハンナが印象に残る。 ルードヴィヒの語りを再び挿入すれば全体の均衡がとれて更に良くなったはず。 そして「弦楽四重奏曲第15番」のレコード針の音が残りながら幕が下りる。
「(音楽と)舞踊でベートーヴェンの伝記的な軌跡をなぞった・・」(演出家)。 誰でも知っている曲と振付を混ぜ合わせ物語を現前させていく上手さは申し分ない。 コンテンポラリからバレエまでの幅広さが楽しい。 シンプルな衣装の変化も演出家の好みがみえる。
この舞台は先に記した3人の女性が重要な役割を果たしたと思う。 モテモテのベートーヴェンだ。 しかも彼は物語に強い。 観客も色々な見方ができる舞台だった。 12月に入り「合唱付き」が聴けたのは嬉しい御負け。
*NNTTダンス2019シーズン作品
*劇場サイト、https://www.nntt.jac.go.jp/dance/beethovensonata/