■サド侯爵夫人(第二幕)

■作:三島由紀夫,演出:鈴木忠志,出演:佐藤ジョンソンあき,齊藤真紀,木山はるか,内藤千恵子,加藤雅治,劇団:SCOT
■吉祥寺シアター,2019.12.13-21
■非日常からやって来た役者の身体や声が己自身の中に緊張とカタルシスを生じさせます。 80分間切れ目なく続いていく舞台の力に圧倒される。 まさに至福の時間でした。 舞台に流れる時間は一瞬に空間へと変換され感動の総てが詰め込まれていくかのようです。 変換装置こそ演出家が編み出した様式という器かもしれない。
終演後に鈴木忠志が観客からの質問に答えるアフタートークを聞く。 配布資料にもあったがこれはヤクザを意識して作ったらしい。 サン・フォン伯爵夫人がモントルイユ一家に押し掛ける姿はまるでヤクザですね。 「藤圭子や高倉健を思い描いてくれ・・」。 ヤクザ大好き!な三島由紀夫に近づくのも容易になります。
人間精神の奥底にある差別(と言ってよいのか?)を論じているこの作品が今も時代と共に走り続けている所以でもある。 サド侯爵夫人ルネもサン・フォン夫人もサド侯爵を認めていくが法と正義の使者モントルイユ夫人はそうはいかない。 宗教そして道徳と性、法と正義、愛と孤独・・、これらを遠近射程に入れながら喋る続ける三夫人の姿から他者を受け入れるとは何であるのかを深く考えさせられました。
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/104703