■リタとリコ、セチュアンの善人より

■原案:ベルトルト.ブレヒト,構成.演出.台本:渡辺敬彦,台本協力:守山真利恵,出演:山本実幸,泉陽二,大内智美ほか,劇団:SPAC
■静岡芸術劇場,2019.12.14-22
■主人公の名前が面白い。 それはリタとリコ、直ぐには由来が分からなかったけど、物語の方向を指し示している。 舞台の上のリタもリコも言葉数が少ない。 科白の間の空白で二人の表裏差が熟され観ているリズムにうまく入り込んでくるの。 少ない科白量と空白が観客に咀嚼されて物語世界が広がっていく。
このリズムが舞台美術と共鳴しているのが素晴らしい。 黒を基調とした少ないモノが科白に結び付いていくから。 男根の鼻を持つリコたち、唯一赤い色のバラをつけるリタの姿は傑作だわ。 リコに変身するコートと帽子も素敵よ。 ビードルズを含め選曲も良し。
「生れてくる赤ん坊のためにリタでいたい」。 リタとリコという対決を越えたリタの心の有様だと思う。 この言葉で観客も対立を解消するその先を確信できる。 浄土宗系の他力本願や悪人正機も考えながら観てしまった。
*「・・利他主義と利己主義からリタとリコを思いついた」(演出家インタビューより)
*SPAC秋シーズン2019作品
*劇場サイト、https://spac.or.jp/au2019-sp2020/rita_and_rico_2019
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