■ヤング・マルクス Young Marx

■作:リチャード.ビーン,クライヴ.コールマン,演出:ニコラス.ハイトナー,出演:ロリー.キニア,オリヴァー.クリス他
■TOHOシネマズ日本橋,2018.11.24-30(ブリッジ.シアター,2017.10収録)
■ロンドンのソーホーに逃げてきた1850年頃のカール・マルクスが主人公の舞台。 貧困生活のマルクス一家にスイスから亡命してきたエンゲルスも加わる。 プロイセン警察スパイが暗躍するなか共産主義者同盟やライン新聞の難しい運営を迫られるどたばたコメディー作品のようね。 結構笑えるけど当時の社会情勢が色濃く描かれていてズシッと重みのある舞台だわ。
「資本主義は変幻自在だ!」とマルクスは言う。 人間の欲望を取り込み増殖していく資本主義の前線で戦う若きマルクス。  「・・マルクスは暴君で自己中心的」と妻イェニーの言葉とは落差があるけど、家族や隣人など他者への人間愛がマルクスの行動の裏に感じられるわね。 私生活を描いたこの舞台はフォイエルバッハの影響がみえる。 唯物史観では彼を批判しているが、マルクスの公生活と私生活の差異が作品の面白いところだと思う。
ブリッジ・シアターの紹介があったがこの劇場は演出家ニコラス・ハイトナー達が作り今回が杮落しとのこと。 ハイトナーはインタビューで「コアな観客にエッジの効いた芝居はやらない!」。 なーるほど。 でもこの作品はコアな客にもそうでない客にも楽しめる。
*NTLナショナル.シアター.ライブ作品
*作品サイト、https://www.ntlive.jp/youngmarx
*「このブログを検索」語句、 ビーン
*2018.11.30追記 先日、高取英が亡くなった記事をみつけたの。 サルバドール・タリも9月に亡くなっていたのね。 寺山修司の記憶がボロボロと欠け落ちていく。