■さわひらきー潜像の語り手ー  ■さわひらきX島地保武ーSiltsシルツー

□潜像の語り手
■神奈川芸術劇場.中スタジオ,2018.11.11-12.9
■映像作品を中心に20点弱が9スクリーンに映し出される展示構成です。 スケジュール表を見ると60分/サイクルと書いてある。 同時上映もあるので90分前後で全ての作品を見ることができます。
「HAKO」(2007年)は同時5スクリーンの作品ですがディゾルブを多用した風景が記憶と融合し、懐かしさが諸々の感情を伴い押し寄せてきます。 作品群はモノクロの風景とカラーで撮った室内に分類できる。 後者は足のある食器が歩き回り洗面ボウルの中で馬が泳いでいたりしてアニメーションを強く感じさせる。 前者に近い作品が気に入りましたが、どちらも一度みたら記憶の片隅に必ず残ります。
劇場での展示でしたが暗い場内は大きな鏡の壁で奥行きを出し置物の映像作品を点在させて独特な雰囲気を匂わせていました。 掛け時計が作品の開始時刻を知らせるのも面白い。 作品上映のタイムスケジュールは分かり易かったですね。 映像作品の多い展示会は参考にしてもよいでしょう。
*KAAT EXHIBITION2018
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/h_sawa
□silts シルツ
■構成・映像:さわひらき,演出・振付:島地保武,出演:Altneu(酒井はな,島地保武)
■神奈川芸術劇場.大スタジオ,2018.11.23-25
■「潜像の語り手」でも上映されていた「silts」(さわひらき2009年)を舞台美術に取り込んだダンス作品です。 酒井はなと島地保武のデュエットで日常的且つ即興性のある振付といってよい。 でも前半は映像とダンスが合わない。 映像が強すぎるからです。 歯車や梯子を上る人物アニメ、歩き回る食器類に目が奪われてしまう。 壁と比較して床の映像は苦にならないのが不思議です。 後半、酒井が映像風景を眺める場面などもあり落ち着いてきた。 記憶や夢や風景をも取り込むダンスでないと映像と同期がとれない。 終わりに近づくほど違和感が薄れたのはダンサーが持っている余白(遊び)の質が良いからでしょう。
*KAAT DANCE SERIES2018作品
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/silts