2018年11月18日日曜日

■狂人教育ー人形と俳優との偶発的邂逅劇ー

■作:寺山修司,演出・音楽:J.A.シーザー,構成・演出:高田恵篤,劇団:演劇実験室◎万有引力
■ザ・スズナリ,2018.11.9-18
■爺婆父兄姉そして主人公らしき妹の人形家族6人。 その人形も、もちろん人形遣いも俳優が演じるの。 サングラスをかけた黒ずくめの人形遣いが彼らの周りに纏わりついていく・・。 家族の中にいる「気狂い」を探し出すストーリーみたい。 いわゆる共同体の維持結束を図る悲喜劇物語ね。
どこかレトロの雰囲気が漂うのは50年以上も前の作品だから? でも幾つかの激しい場面でも劇的高揚感がやってこない。 全体を通して二か所くらいしか見せ場が無い。 それは「人形たちに自由意思がないのは人形遣いのせい、でも人形遣いも作者の奴隷、その作者も遠い戦争やら紫煙のゆらぎで戯曲は変わり変わって・・」という人形俳優作家の階層関係を論ずる場面、「妹ランが周囲と同じ行動を取らないから気狂いとして殺せ・・」と繰り返される時代光景。 でもこの二つ以外はちょっと生温い。 原因は科白の多くが淡泊で物語の奥へと入っていけないからだと思う。 人形劇用として作ったので童話に近いのかも。 物語構造はおもしろいから台詞と身体の融合を推し進めればずっと良くなるはずよ。 そして母の不在が寺山修司のネットリ感を抑えていたわね。
*演劇実験室◎万有引力第67回本公演作品
*寺山修司没後35年演劇実験室◎万有引力創立35周年公演第2弾作品
*劇団サイト、https://banyuinryoku.wixsite.com/index