■Is it worth to save us?

■演出:伊藤郁女,振付.出演:伊藤郁女,森山未來
■神奈川芸術劇場.大スタジオ,2018.10.31-11.4
■場内に入ると伊藤郁女が観客にマイムで語りかけている。 次第に幕が開き森山未來が観客に質問をし始める。 「流れ星は見たか?」「花は買ったか?」「・・?」。 次に伊藤が自身?の子供時代の思い出を朗読する。 「4歳、宇宙人だと思い込み・・」「5歳、バレエを始める・・」「・・」「14歳、母にひな人形を捨てられる・・」。 そしてダンス。 途中二人が裸になり無言で絡み合う場面は作品の佳境ともいえる。 ここはとても日本的だ。 小道具もそれに合わせている。 伊藤郁女は初めて見るが戦後映画女優の何人かを思い出してしまった。 溝口健二の作品に登場する娼婦たちに笠置シズ子を足し合わせたような(ダンサーというより)女優にみえる。 次に森山未来が朗読に入る。 「6歳、自転車で骨折をする・・」「・・」。 そしてマイクを持ち出し二人は歌いだす。 楽しい歌詞だが題名は知らない。 マイケルジャクソンの話題と演技は笑ってしまった。 最後にケーキやトマトを投げ合い全身がベトベトになって幕が下りる。
以上が作品の流れだが終幕まで飽きさせない。 このような歯切れのよい構成は見たことがない。 詩、歌唱、ケーキの投げ合いなど小粒ながらグローバル的な表現が多い。 世界のどこへ持ち出してもよい品質と内容がある。 伊藤郁女はフランス語圏を拠点としているようだ。 面白い舞台だった。
*KAAT DANCE SERIES 2018
*劇場サイト、http://www.kaat.jp/d/isitworth