■パッション

■作詞・作曲:S・ソンドハイム,演出:宮田慶子,出演:井上芳雄,和音美桜,シルビア・グラブ
■新国立劇場・中劇場,2015.10.16-11.18
■不倫のクララやストーカーのフォスカがどんなに燃えても旋律と歌唱が舞台に静寂をつれてくる。 愛とは何か? 一つの答えを楽曲が語っているようね。 物語を進める科白も淡泊なの。 抽象感ある美術を含めて全体に隙間がある。 隙間の有るお蔭で役者たちと共に愛とは何かを冷静に考えることができる。
愛のために夫や子供を捨てられるか?愛のために死ねるか?をクララに質問するのは酷かもしれない。 答えたらクララが主人公になってしまう・・。 でもこの比較で愛に満たされたフォスカの死を観客は安心して見送ったことは確かだわ。
「愛する」と「愛される」が巡り会うためにはフォスカのような飛躍的な行動が必要なの。 この行動を得るには愛を確信する閃きと、閃きを持続する強い意思と、意思を具現化する冷静なストーカーになれと言っているようね。 演出家は「沈黙」の舞台雰囲気をそのままにして存在から行動へと舵を切ったのね。
*NNTTドラマ2015シーズン作品
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/play/passion/