■神なき国の騎士-あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?

作:川村毅,演出:野村萬斎,大駱駝艦
世田谷パブリックシアター,2014.3.3-16
闇の世界からやって来たような大駱駝鑑と「偽りの光」と闘い「闇を受け入れる」ドン・キホーテのコラボは面白い。 でも芝居に入っていけません。 シラケが全体を覆っている感じです。 原因は・・
1.筋が粗くて流れに乗れない。 萬斎が得意とするリズムが舞台に作れなかったのが一番の問題です。
2.東日本大震災が見え隠れしているので現実世界に戻されてしまう。 現実のリアルが舞台を越えてしまうからでしょう。
3.「学芸会の練習か?」の台詞のように、座頭市・子連れ狼・木枯し紋次郎などのモノマネやハムやオニギリの食料の扱い方は学芸会並ですね。
4.「わかり易さの罠に嵌る」と言っていたが、まさに舞台は罠に陥ってしまった感があります。
5.太古の闇と原発の闇の関係がよく見えません。 これを上手く繋げないとアヤフヤになるのではないでしょうか?
6.「神」という言葉は歴史や意味がこびり付いているので判断停止状態になってしまいます。 「神々は胸の内にある」は宙ぶらりんの終幕です。 そして「生きることだ!」の終わりの始まりは円環を描いていますが芝居としては物足りません。・・大震災や原発のような目の前の現実を表現する場合<わかり易さの罠に嵌まり>ます。 混乱した舞台にみえました。