■女王の器

■作・演出:松井周,出演:劇団サンプル
■アルテリオ小劇場,2012.1.17-26
■女王や性転換?の登場やセックスの話題の多さから、半年前に読んだ「恋するオスが進化する」という本について考えてしまった。 異性間選択・性的対立・繁殖コスト・性転換など、この10年間の生物学の成果を当てはめると芝居の動きがよく見える。
でもこの劇の面白さは、舞台脇にいて舞台を見つめ登場を待つ役者と、意識して少し力んで台詞を喋っている役者の差異の面白さを背景に、舞台の構成やそこに散らばった小道具が言葉と同じ位置を占め、科白の間に挟まって観客に届くところにある。
それは方向性の無いもどかしさが含まれているので観客の脳味噌で炭酸のように発散して軽い倦怠ある快感がやってくるから。
ところで役者たちの顔を観ていて前回作品>>96を思い出した。 舞台の土手や夕焼けがとても印象深かったことなどを。 この作品も舞台構成が面白いので印象に残るだろう。 布の下で這いずり回ったことなども。
*CoRichサイト、https://stage.corich.jp/stage/32694