■白石加代子「百物語」第二十九夜

■演出:鴨下信一,出演:白石加代子
■岩波ホール
■宮部みゆき作「お文の影」、「ばんば憑き」の二題。  どちらも江戸怪談であるが闇の深さは無い。 前者はお結がお文を虐める理由、後者はお由が八重を殺す理由は、どちらも想像はつくけれど省きすぎていて心の襞まで見えてこない。
このため身体と影の分離、肉体を移動する精神という題材が前面に出てしまい唸るような人生の深淵が出現しない。 しかし後半は白石も力が入ってきて面白くなる。 お松が生い立ちを語る場面は二十九夜のクライマックスであった。
*百物語リスト、http://www.mtp-stage.co.jp/shikraisikayokonoheya/hyaku.html