■静物画

■振付:白井剛
■自由学園明日館・講堂,2011.10.27-30
■木の柱梁と白壁、形ある窓枠、隅に石を配置したフランク・ロイド・ライト風の遠藤新設計の講堂は心地よい緊張があり落ち着きます。 白井剛は名のとおり硬さと強さの中に繊細さがある踊りだと記憶していました。 今回は少し違いますね。
繊細を維持しながら物と空間を取り入れ身体をコミカルに変化させようとしています。 幕開けからしばらくは、舞台はまさしく静物画のようです。 それも15世紀ヨーロッパのを。 しかし徐々に静物画から離れていきます。
ダンサーと果物・食器が一つになり舞台を踊るというより動き回ります。 「「在ること」を優位に・・」とチラシにありましたがそこに向かって行きません。 ダンサーは物との関係に近づこうとしていますがどちらも無関心です。 これは存在より関係の踊りです。
静物画の面白さは物が存在する不思議に驚くことです。 そこに物の本質が現れるからです。 何故ある種の舞踏や芝居では人間の存在に驚くことができるのでしょうか? 「在ること」の驚きはありませんでしたが、それを考えさせられるダンスでした。
*写真、http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage22577_1.jpg?1409783838