■Medicine メディスン

■作:エンダ・ウォルシュ,演出:白井晃,出演:田中圭,奈緒,富山えり子,ドラム奏者:新井康太
■シアタートラム,2024.5.6-6.9
■タイトルから医療関係の話と分かる。 精神科での演劇療法は聞いたことがある。 それに近い? でも混乱しました。 登場人物3人は何者なのか? パジャマ姿の男性は患者で他の二人は医療従事者にみえます。
患者が役者になり自身の過去を演じ精神の解放を目指す治療方法かもしれない。 でも患者は雁字搦めですね。 自分の過去さえ脱線が許されない。 彼は精神を病んでいるのか? 最初に戻るが、やはり医療の話なのか? 「1984年」の類似作品かもしれない。
終幕、過去に出会った近所の女性に患者は癒される。 劇中劇では医療従事者の女性役者です。 彼女は恋人には見えない。 彼の理想の母か? むしろ聖母のような位置づけでしょう。 この劇的な出会いは突然だが平凡な結果にみえる。 ストーリーが深みへ進まず、彼の心に何も堆積されていかなかったからです。
しかし治療からみると謎が残る。 この終幕も治療の一環なのか? つまり、治療は成功したのか? いや、この出会いは治療外のことなのか? そして、なによりも劇中劇から抜け出したのか? ・・?
二人の医療従事者は、変装あり歌ありダンスありの芸達者です。 動きも機敏です。 マイクとスピーカを使い歌唱は録音、科白もリアルと録音を混ぜて複雑な構造になっている。 ドラムも出しゃばらずに巧い演奏をしていた。
わからない事が一杯の舞台でしたね。 帰りにプログラムを買おうとしたが止めました。 作者や演出家の話で情報量を増しても楽しくない。 素直な驚きを何も加えずに持ち続けるのが良いでしょう。 作者は謎や混乱を上手く使いますね。 演出家もこれを巧みに装飾していました。 二人の相性は抜群だとおもいます。 ところで観客の9割以上が女性でした。 贔屓筋でしょうか?
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